アゲハチョウ1

1−2

榛原美奈の事を知る為に、まずはしばらく様子を見る事にした。


「・・・。」


放課後南雲彩華たちグループから屋上に呼び出される榛原美奈。


(ありきたりだ。)


そう思いながら、私の力のひとつであるアゲハを利用して、姿や気配を隠し近くで観察する事にした。


一匹の黒い大きなアゲハを呼び寄せて、私の体と一つになる。アゲハの刻印が左二の腕に現れたら、力が発揮された証拠だ。


力が発揮された事を確認して、私は榛原美奈達のやり取りがよく見える位置まで、近づく。


「彩華・・・ちゃん。」


美奈はオドオドしながら、彩華を見た。彩華は綺麗な眉を眉間に寄せ、不機嫌オーラを放っていた。


「本ッ当、ドジなんだから。」

「ご、ごめん、なさい。」


美奈は顔を俯かせて小さな声で謝っている。


(・・・昼休みの事か。)


昼休み、榛原美奈は頼まれた人数分の飲み物を持って来たときに、南雲彩華の取り巻きAがわざと出した足に躓いて、飲み物をこぼしてしまったのだ。


飲み物は見事に南雲彩華にかかり、南雲彩華は散々な目にあっていた。


「どうしてくれるの〜。彩華がこんなになったの、榛原さんの所為だよ?」

「う、は、はい・・・」

「シンユウにそんな事するなんて、サイテー。」

「あたしに恥かかせたんだもの。覚悟できてるわよ、ねッ!!」


彩華が美奈を押し倒す。


「きゃッ!!」


美奈は後ろに倒れて座り込む。彩華達は嗤っていた。


「本当、ごめんなさい!!」

「ごめんなさい。で済んだらケーサツ要らねぇんだっつうの!!」

「うッ!!」


一人が榛原美奈を蹴る。鳩尾に蹴が入って榛原美奈はその場に蹲る。


その一人が発端となり、周りに居た南雲彩華以外の女子が次々と蹴る、殴るの暴行を繰り返す。


(これが・・・女の子のやること?・・・時代が変わったらこうも、変わってしまうのね。)


目の前の行為に驚き、悲しみを隠せない。止めたいけれども、止められない。私に止める権利は無い。


奥歯を噛み締めて、私は食い入るようにその光景を目に焼き付けた。
< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop