放課後恋愛

「紗智……」



その言葉と共に、唇からゆっくりと指が離れていく。

でも…、熱を帯びたままの唇に戸惑ってしまって、声が上手く出てこない。


なんだか…いつもの私じゃないみたいだ…。


もどかしさで唇をキュッと噛みしめていると、九条君は壁にピタリとついていた手を離した。



「明日も…よろしくな。」

そう言って笑うと、いつの間にか、私の手から床に滑り落ちてしまっていたカバンを拾い上げた。



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