成熟と化して

「え?何これ」

佐藤は部室のドアを開けるや否や絶句した。

いや、そこまで驚いてもないが、絶句した。

「……」

紙田が…
紙田が…
紙田が…


ジャイアントフラッシュになっていた。

【ジャイアントフラッシュ】

ジャイアントに光を帯びてる頭のことだ。


「…先輩」

「ん?」

「頭…」

「頭がどうかしたか?」

「黒光りな物がついてます」

「……」

無言で、頭を触る紙田。

紙田の手は黒光りの何かに触れる
黒光りの何かは動く。
紙田が執拗に触るので黒光りの何かは飛び、カーテンに着地した


「………」

「……」

「先輩…」

「…」

「髪、洗ってきたらどうです…?」

「そうしとく」

部室を無言で出る、紙田。

佐藤は紙田の荷物と自分の荷物を持ち、部室を出たあと、ドアの鍵をしめた。


黒光りの何かが、明日にはいないことを願いながら。


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