成熟と化して

ガサガサ

草が動く音がした。

「エッチならよそでやれよ。ったく…」

「いや、違うから!!普通に考えて違うからっ」

「うるさいのぅ」

老婆がでてきた。


―山姥だっ!!

「おまえたち、迷子か」

「ああ、そうっすけど」

紙田が平然と答える。

「エブリスタカンシャサイ」

相変わらず意味不明なことを言うアホタ。

「そうか、わしの家に電話がある。そこから連絡すればいい」

「本当か!?」

「ああ。わしゃ嘘は吐かん」

「あんた、顔は怖いけどいい奴だな!!」

と、紙田は無礼極まりないことを、老婆に言った。

老婆は眉一つ動かさず、ついてこいと言い、歩き出した。


後をついていく三人。

―怪しいな…

佐藤一人だけは、この老婆を怪しんでいたが。




老婆の家は、狭くもなく、広くもなくといった感じだ。

木造建てで、少し強い地震があったら崩れそうだった。

「入れ」

とだけ言うとさっさと老婆は入っていった。

中の印象は外観と変わらず。

「あ、電話だ」

紙田は早速電話を取り、電話をした。

「明日来るってさ。今日はもう暗いから」

「フーン」

―ええ…

「ということは、今日は、ここに泊まるか」

老婆の許可なく、家に泊まることを決めた紙田。
しかし、老婆は怒ることもなく、黙々と夕食を作っている。


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