成熟と化して

「よしよし」

佐藤は、手慣れた手つきで赤ちゃんをあやしていた

「先輩、ミルクまだですか?」

「ああ、ちょっと待て」

「…何分かかってるんですか」

台所(何故か部室内にある)で突っ立ったままの紙田。

―これ、サボってるだろ

と思い、紙田に近づいた

「ちょっと先輩!!!」

「待てと言ってるだろ!!今、デ〇〇ルで、ミルクの出が―」

「あんた最低だよ!!!」

珍しくキレた佐藤は、赤ちゃんを紙田に預け、ミルクを作り始めた

―ったく…何でこんなバカなんだ、こいつ

「キャッキャッキャ」

赤ちゃんの笑い声が聞こえ始め、少し佐藤の怒りも収まり始めた

「ミルクまだか?」

憎き紙田の声が聞こえ、少し怒りが込み上げたが

―何分か後

「できまし…」

佐藤が紙田たちがいる方を向き、固まった

赤ちゃんと紙田がいないからだ。

「あれ…?」

ドガーーーーーン!

グランドで爆音がし、慌てて窓を見る佐藤。

外では赤ちゃんと紙田がのほほんとした空気で立って、爆発を見ていた

「わははは。楽しいだろ?」

「キャッキャッ」

―…何この情景

窓から見ていた佐藤に気づき、紙田が手を振る
「お!!佐藤!!おまえも来いよ!!」

「…結構です」

そう言って、窓を閉めた。

―今のは幻覚。今のは幻覚。今のは幻覚

と必死にさっきみた情景をなかったことにしようとした。

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