成熟と化して



あれはたしか、佐藤にキレられて、頭に哺乳瓶を叩きつけられたときだったな…


「なぜ叩いた?」

と、その疑問を解くために佐藤が来ることを願がいながら、毎日を過ごしていた。

その日は目がすっきりして、全然眠れなかった夜のこと。

「暇だぁ」

そこまで怪我が酷くないので、医者や看護師がバタバタ来るわけでもない。
学校の時間なので、友達が見舞いに来るわけでもない。
親が来るわけでもない。

「盛り上げ部なのに、俺が一番つまんなさそうにしてるんじゃないか?」

次長気味に言い、紙田は「探検でもするか」と、病室を出ることにした。

―暇つぶしにはなるだろ

「いい機材でも見つかるといいな」

少し探検する目的がおかしいが、紙田の頭には何の違和感もなかった

「下に行こう。下には絶対未知の世界が広がってるはずだ」

夜にも関わらず、大声で叫び、階段を凄い大きな音をたてながら降りていた。

患者にとっては睡眠妨害

いい機材に出会うかと淡い期待を胸に込めながら、ロビーに出た。
「とりあえず、霊安室にでもいこっかな」

「あの…」

か細い女の声が聞こえた。紙田は少しビクッとしたあと、ソファに少女が座っていることに気付いた。

「すみません…驚かしてしまって」

遠慮がちに謝る彼女。
顔はなかなか可愛い。
―あ、俺のタイプかも…

と紙田は軽く下心をもっていることには気づかず、少女はやはり遠慮がちに言う

「霊安室…がどうしたんですか?」

「ああ、今から探検に行くんだ!!暇だし。で、まずは霊安室からってこと」

「なるほど…」

少女は軽く頷き、柔和な笑顔を作った

「あの、私も一緒に行ってもいいですか?」
「え?」

戸惑う紙田に対し、慌てて謝った少女。
紙田もあわててフォローする。

< 48 / 202 >

この作品をシェア

pagetop