春も嵐も
『野ばら商店街』だなんて、何ともしゃれたネーミングだ。

そこら辺に花が咲いてるのかと思いながら辺りを見回すも、それらしきものはいっさい見当たらない。

変わりにいるのは、たくさんの人ばかりである。

右を見ても左を見ても、人人人…。

「すげーもんだ」

日曜日と言うことも手伝ってか、店は安売りの大売り出しである。

その店に集まる人の数は、すげーとしか言いようがない。

「おっと」

本来の目的を忘れるところだった。

そもそも、俺がここへきたのは夕飯のおかずを買いにきた訳じゃない。

何て思いながら、商店街を探索した…けれども、店ばっかりが並んでいるだけで俺が探しているヤツはいなかった。
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