春も嵐も
つつかれた以上、仕方がない。

「そうだよ、似合ってるって」

俺は何故気の効いたことを言えない。

美波さんと同じことを言ってるだけじゃないか。

こう言う時に限ってデリカシーがない自分に笑える。

いや、笑い事でもねーか。

「あーもう、あたしのバカー!」

両手で頭を抱えて困ったように弥生は言った。

「こんな姿じゃ杉里さんに顔向けできないよー!

って言うか、お嫁にも行けないよー!」

弥生は頭を抱えながらその場から逃げ出した。

「あ、ちょっと!」

「おい、弥生!」

俺たちも後を追うようにその場から立ち去った。
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