強がりも全部受け止めて
自分の気持ちが定まったことで、スッキリ出来たお陰で、その日は仕事もはかどった。




溜め込んでいた仕事を順調にこなしていく。




少しだけ残業をして全てやり終えた時は、達成感すら感じてた。




今なら何でも出来そうな気がする。そんな妙な高揚感に溢れていて、勢いのまま義彦のバイト先へ行けば、彼にも会える気がして。




思い立ったが吉日、よね。早速今日から通い詰めて、彼に会えるまで頑張ろう、と決心を胸に席を立った。




ーーその時だった。




『笹岡、仕事終わったのか?』




しゃがれた声で少し威圧的に私を呼ぶ声に、引き止められたのは。




この声は・・・



「はい。終わったので上がろうと思っていたところです。部長もまだ残っていたんですね」





『君に用があってね、仕事が終わるまで待ってたんだよ』




部長が普段は見せないようなニコニコ顔で私を呼ぶ。
こういう顔してる時って、たいていロクな話じゃないのよね。




面倒な仕事でも押し付けようとしてるのかしら。




内心でため息をついて、部長の席まで歩を進める。





「どのようなご用件でしょうか」




尋ねた私に手に持っていたものを差し出してきた。




「これは、なんでしょう?」




受け取ると同時に、頬がひきつる。
冗談でしょう?なんでこんなものを私に。



そんな私の気持ちなんてお構い無しに部長は、とても気味の悪い笑顔を浮かべ、




『悪い話じゃないと思うからまあ聞きなさい』





と用件を話し始めたのだった。







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