君の面影
「いったい今まで…」
「ちょ、ちょっと待ってください! あの、あなたたちはどうして私の名前を…?」
「え…何言って」
「竜二! 行くぞ!」
「て、悠一!?!」
「佐奈、ちょっと今日は帰るわ。また今度ゆっくりできるときに兄貴連れて来るから」
「あ、はい…お兄ちゃん、それと悠一さんも、ムリはしないでね!」


俺は竜二を引きずって部屋を出た


とにかく早くあの場から立ち去りたかった


悠愛に似ているあの子を見ていると気が狂いそうだったから









「おい! 悠一!!」
「…んだよ…」
「なんで出てきたんだよ!? あの子は絶対」
「うるせぇ!!!!」

ビクッ

「あいつは悠愛じゃねぇ…」
「そんな…でも自分の名前を」
「違ぇんだよ…悠愛じゃ…あいつがあそこにいるなんてことは有り得ねぇ」
「……」
「クッソ…」
「違うだろ…お前は信じたくないだけなんだ」

ドクン…

「あの子がもし悠愛ちゃんなら、お前を見たら確かにおまえんとこに駆け寄っただろうよ…けどあの子の反応は懐かしむどころか俺達のことを知らないふうだった」
「やめろ……」
「まるで…」


ドクン、ドクン…


「慧のときのように………」
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