明るい未来への道程
六年生。

芽衣の中に生まれ始めた感情。
−死にたい…−
毎日のように暴言を吐かれ、毎日のように嘘をつかれる。
そんな日々。
毎日が苦痛だった。
親に知られたくない思いもあり、家ではヘラヘラ笑っている。
小学校生活後半、芽衣の第一人称は変わった。
「俺…」
そう言うようになった。
周りは驚いていた。
同時に、芽衣は半暴力的になっていた。
言葉遣いも荒く、直ぐに手か足が出るようになった。
「キメーよ!」
「うるせぇな!!黙れよ!」
いつもこれだ。
とても小学生とは思えない言葉遣いだ。
親は言葉遣い悪いよ、とか言うけれど、そんなものは無視。
それが芽衣だった。
小学生生活も終わる頃。
芽衣の暴力や言葉遣いは日常で誰も気にしなくなった。
芽衣も皆の暴言は気にしないようにした。
しかし、やはり心のどこかに傷はつく。
言われる度に一つ、二つと増えていく。
それでも芽衣は皆の暴言は気にしていないフリをした。
家に帰ると、いつも泣いていた。
「こんな日々は嫌だよ…いつになったら何も言われなくなるの…?」
そう、ベッドで泣いていた。
一度は本気で死のうとしていた。
部屋の窓から飛び降りようとした。
それでも、
(もし俺が死んだら誰か一人は悲しんでくれるだろうか…)
その少しの期待により抵抗があった。
あの時、思い留まることが無かったら、今、芽衣は生きていない。
これでよかったのだろうか…

卒業式。
皆、制服がない学校だったから様々な服だった。
白、黒、紺、茶、グレー
色とりどりの服が壇上を飾った。
皆、泣いていた。
しかし、芽衣は涙が出て来なかった。
あまり悲しくないのだ。
どうせ中学校も皆一緒になるからどうでもいい。
そう思った。
それ以前に、芽衣は中学校でも暴言を言われるのか…?と考えた。
この時の芽衣には、中学校で何が起こるか予想は出来なかった。
しかし、それでも良い事を想像してしまうのが人間であろうか?
芽衣は中学校では楽しく過ごせる。
きっと何も言われない。
そう信じた。
中学校の入学式までの春休み。
ずっと中学校が楽しみで仕方がなかった。
中学校はどんなところだろう。
どんな事があるんだろう。
そればかり考えていた。

そんな小学校生活後期の思い。
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