アセトアルデヒドの悪戯(イタズラ)
けれど、連はそんなひつこく、何でもきき探るヒトでは、ない。

ちょっと、何か考えているふうだったけど、

「そうなんだ。体、こわさないように」

それだけ、言った。

「うん。ありがと」

白亜はほっとした。

けれど、今度こそ、

『じゃ』って帰ってしまう。

白亜は、立ち止まっている自分に気付いて、フロアまで駆け上がる。

それから、同じフロアに立って、連を見た。

「連は」

連は動かずに白亜を見た。

「・・・何買いに?」

やっと、話題を思いついた。

学校で会うのと違って、何だか緊張している。

だから、何を話していいかすら、分からなくなってる。

連はニッって笑う。

「オレは今頃生地買ってるヒトとは違うから」

「もう、だいぶ出来ちゃってるってこと?」

「うん。もう、縫い終わった。けど、ボタンが気に入らなくて、買いなおしに来たんだ」

ボタン、か。

< 36 / 54 >

この作品をシェア

pagetop