文系男子。

「なあ」

竹之内は血だらけになった右手の指を擦り合わせた。

くち、と音がする。




「……………逃げるぞ」




小さくそう言うと、あたしの手をひっ掴み、走り出した。

なんで?

坂本は?どうすんの?

そう聞きたかったけど、後ろから走ってきた追っ手を見て、口を噤んだ。

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