文系男子。

[真朱]


あ まだ謝ってないじゃないか。


その事に気付いたのは、駅の中に入ってからで、
もう一度振り向くと、竹之内はいなかった。


でも、まさか来るとは思っていなかった。


何となく嬉しい気もするが、―――松葉との会話が気になる。


無愛想な人だとは思っていたがあそこまで敵意を剥き出しにした竹之内は初めて見た。

それとヤクザって言おうとしたあたしの言葉を遮る竹之内も。

図書館にますます行き辛くなって行く。
前までは勉強しに行くだけだったのに、今じゃ…

「…はあ」

可笑しい事なんて指摘されなくても分かっている。
それと勉強をタテに竹之内に会いに行くなんて不純過ぎる気持ちにも薄々気付いていた。

つくづく思う――――セコい、と。

  

< 83 / 253 >

この作品をシェア

pagetop