年上の彼氏


「雷太だった」

戻ってきた秋仁さんの後ろから珍しくテンションの低いライ君が顔を出した。

「ライ君、久しぶり」

笑顔で挨拶をする私に

「ああ」

チラッと見るだけの挨拶。

どうしたんだろ。

「悪いんだけどさ、ちょっと車に乗っててもらえる?」

秋仁さんはそう言って、車の鍵を私に渡した。

「あ、うん」

夏休みの間に免許は取ったので、それはかまわないんだけど・・・。

何か大事な話?

私には聞かせられないの?

聞きたいことは色々あったけど、ライ君の暗い表情を見るとそんなことも言えなくて、言われるがまま私はアパートを出て、秋仁さんの車に乗って2人の話が終わるのを待っていた。


20分くらい経っただろうか、アパートのドアが開いて

「待てよ、雷太!」

「うっせぇ、離せ!!お前なんか友達でもなんでもねぇ!!」

乱暴に怒りながらライ君が出てきた。

「ちゃんと、話をしろって!!俺はそんなに詳しくしらねーんだよ!!」

ライ君の腕を掴んで話す秋仁さんを振り切って、ライ君が降りてきた。

私の前に止めてあった車に乗り込むと、車を発進させた。

慌てて車から降りると、秋仁さんのところへ向かう。

「どうしたの?」

ライ君の去った車を目で追いかけていた秋仁さんに話しかけると

「・・・ああ、とりあえず入って」

頭を掻きながら部屋のドアを開けた。




< 107 / 130 >

この作品をシェア

pagetop