年上の彼氏


そして車が向かった先は・・・秋仁さんのアパート。

駐車場には秋仁さんの車が止めてあった。

「ここでしょ?秋仁のアパート」

「・・・・うん」

「何?」

腑に落ちない顔をしていたのが分かったようで。

「何で?」

「何が?」

「どうして秋仁さんのアパートなの?家でもいいじゃん」

口を尖らせた。

「お母さんにばれるよ?」

そんな疑問にお姉ちゃんは少し困ったような顔で言った

「え?」

「あの人、結構侮れないから。子供のこと見てないようでいてちゃんと見てる」

うん。それは納得できる。

秋仁さんと夏祭りに行くときも、相手が誰だか言わなかったのに、男の人と出かけるのは分かってたみたいだから。

「柊子お母さんに心配かけたくないんじゃないの?」

「それは・・・そうだけど・・・」

「柊子はわかりやすいから一発でばれるわよ。それに私のようになって欲しくないの。妊娠、中絶って男の人より何倍も何十倍も女の方が負担になる。心も体も・・・タイミングを逃すと言いづらくなるしね」

「・・・うん」

「さ、降りて」

お姉ちゃんに促されて、しぶしぶ車を降りた。

駐車場に止まってある秋仁さんの車を見れば、心が切なくなる。


部屋を教えると、お姉ちゃんは歩きだした。

私もその後をとぼとぼと付いて行った。



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