春夏秋冬、君を包む風が吹く。
夏が来る、その前に。


三十秒後、君はどんな顔をするんだろう。


待ち伏せなんて、今さらわざとらしいかな。
でも、ここのところすれ違いで、なかなか会えないし。
日にちも迫ってる。仕方ない。


一週間前から、台詞を何度も何度も繰り返して、頭の中をめぐらせて。
夢の中にまで、シミュレーションしたシチュエーションがばっちり登場したから、心構えはたぶん、OK。
ここをもうすぐ通ることも、随分前からリサーチ済み。
あとは君を目の前にして、一言、伝えるだけなんだ。


夏服のスカートの裾がはためく。
無駄に大きい廊下の窓から、梅雨明け間近の、快晴の風。
本格的な夏が来る前に。
その前に。


廊下の角のほうから、じゃあな、という聞きなれた声がする。
来た。
言わなくちゃ。
爆発しそうな心臓を抑えながら、思い切って君の前に飛び出した。


あれ?どうしたの。
驚きながらも、笑顔をくれた君に、思い切って伝えたら。


「今度の日曜日、空いてる?」


ねえ。
君はどんな顔をしてくれますか?
< 2 / 28 >

この作品をシェア

pagetop