君を想えば
家に着いても、

私の足は宙に浮いていた。

当たり前の景色も、

今日はなんだか色鮮やかに見えた。

視界を遮っていたモヤモヤが、

パッと晴れた気分。



頭の中は、

康介のことばかりで、

何をしてても、

康介の顔が浮かび上がった。




「なにニタニタしてんだよ。」

勝也が部屋に入ってきた。

「別にぃ〜♪」

今日は勝也が勝手に人の部屋に入ってこようと、

勝手に人の部屋で煙草を吸おうと、

怒る気にもなれない。

今日はとっても穏やかな私なんだ。



「康介とさてはお前…!!」

「キスした!!」

「は…?まじかよ。」

「うん。」

「………。」



ん?

なんかもっともっと突っ込んでくれないと、

なんか調子狂うよ。



「…てかお前、

昼間何言いにきたんだよ。」

「昼間?……あぁ!!

もうすぐ学祭だよって言いに言った!」

「なんだそんなことかよ。」

「そんなことって!!

うちらは何のためにこの高校に入ったか忘れたの!?」

「花火だろ。」

髪の毛をかきながら煙草を吸い始めた勝也。

あんまり嬉しそうじゃない。

毎年この部屋から学祭の花火が見えて、

一緒にその花火を見ながら一緒の高校に行こうって約束したのに。



「楽しみじゃないの?」

「あんま。」

「なんで?」

「………。」


私を見つめる勝也。

なに?

何を訴えかけてるの?

全然分からない。




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