さよなら異邦人
 私は息子の龍之介に、野うさぎのURLを教えた。


「何も父さんの作品だけを読めとは言わないよ。もし、お前なりにこれは面白いというような作品があったら、教えて欲しいんだ」


「結構マジなんだね」


「やるからにはな」


「なんか、普段のオヤジじゃないみたいだ」


「見直したか?」


「ちょっとはね」


 居間では、妻の淳子がこちらを不思議そうな目で見ていた。


「暇な時に覗いてみるとするか」


 そう言いながら、息子は自分の部屋へ戻って行った。


 龍之介と久し振りに話し込んで気分が良かったせいか、発泡酒二本の酔いは、いつもよりいい感じにさせてくれた。


「はい、あなた」


 居間でテレビに夢中になっているものとばかり思っていた淳子が、テーブルの上にノートパソコンを置いた。


「朝が早いんだから、余り遅くならないでね」


 そう言って淳子は奥の寝室へ行った。


< 124 / 220 >

この作品をシェア

pagetop