さよなら異邦人
 ケータイ小説大賞のエントリー締め切りが迫っていた。


 単純に日数で言えば、そう慌てる日にちでは無いかも知れない。


 だが、私は焦り始めていた。月が代わってからやたらと残業が多くなり、思うように執筆の時間を割けなくなったからだ。


 仕事量が増えた訳ではない。


 人がまた減ったのだ。


 中国人が来なくなった。恐らくは、仕事がきつい割には給料が安かったからだろう。


 彼等には同情する。派遣会社から支払われる金額は、仮に同じ派遣でも日本人のそれに比べて一割がた安い。


 当然不満も出る。次の職場が見つかれば、みんな転職したがっているのが実情だ。


 私も若い頃、同様な理由で転職を繰り返した時期があった。


 遣り甲斐を求めて……


 それは、表向きのカッコ付けでしかなかった。


 その事を時々派遣の外国人達に話す事があったが、彼等からすれば、もっと単純に稼ぎたいといった事だったのだろう。


 そういった事もあり、家に帰るのがそれまでより一時間以上も遅くなった。


 野うさぎのサイトページを開く時間が削られ、同時に書く為に考える時間も削られた。


 何日も更新出来ない日が続いた。


 そんなある日、久し振りにTURUKOさんからの書き込みがあった。



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