きみのとなり


拓ちゃんに置いてけぼりにされた私はとぼとぼと歩いて学校へ行った。




汗をタオルで拭きながら、杖をついて一生懸命歩いた。





「おはよー」




教室のドアを開けていつもより元気のない声であいさつをした。




「あ!未来!おはよー!!」



私に気付いた梢が、私とは違って元気な笑顔を向けて駆け寄ってきた。



教室もガヤガヤしていて、私以外はみんな元気だ。



「今日は騒がしいね。」



「うん!そうだよ!!ほら、これっ…!!」



「?」



そう言って梢が私の前に突き出したのは…




「学校…新聞……?」



「そう!しかも…」




「3年3組優勝。上原未来、決める…ってゆう見出し」



「…?」



後ろから、梢ではない声がして、私はゆっくりと振り返った。




「……鈴木君…」



「おっす」



「お……おはよ!」



思わず、力んでしまう。



「ククッ…おはよ」



あいさつ一つで噛んだ私を鈴木君は眉を下げて笑った。






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