きみのとなり

葛藤



二人でテレビを見たり話をして過ごしていた。



ヴーヴーと斗真君のポケットで携帯が鳴った。


「あ、ごめん。親からだ。ちょっと電話してくる!」


「うん、ゆっくりでいいよ」



斗真君が「もしもし?」とそっけない態度で話ながら部屋を出ていった。


リビングにはテレビの音しか響いていない。



『このあいだ~風邪引いちゃって~!』


そんな会話がテレビから聞こえてきた。


風邪……


「……」



私はちらりと部屋にある時計を見た。


もう少しで9時になる。


拓ちゃん…大丈夫かな……


なんて、考えてしまう。


大丈夫。河野さんがいる。


大丈夫だよ。


ふっと息を吐いたとき。



ヴーヴー


鞄の中に入れておいた携帯が鳴った。


「……」


お母さんだよ。

大丈夫。


私は携帯を鞄から出して、画面を見た。



「え?」



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