きみのとなり


「河野とは、別れました。」


「え!?拓海!どうして!」


「かわいい彼女さんだったのに!」


「じゃあ拓海君は未来と付き合えるじゃないか!」



おばさん、お母さん、お父さんはそれぞれ言いたい放題だ。


特にお父さん。


「拓海、ケンカでもしたの?河野さん、いい子だったじゃない。」


おばさんが冷静に拓ちゃんに尋ねる。



「あー、うん。ケンカじゃないよ。まぁ色々あったんだよ。」


「そう……まぁ、仕方ないよ。恋愛って色々あるもんね。お母さんだって昔は色々あったんだからー!」


おばさんは、拓ちゃんと河野さんが別れた理由を聞いてもそこまで奥深いところまで突っ込まずに自分の昔話に花を咲かせはじめた。



おばさんなりの母の愛だろう。


「拓ちゃん」


「ん?」


「河野さんと、色々あったの?」


「…んー、まぁ、色々な」


「そっか……」


ちょっと、気になっちゃうじゃん。



ヴーヴー…



「あ、ごめん。電話。ちょっと出てくる。」


「いってらしゃーい」


拓ちゃんの携帯に電話がきて、電話にねるために拓ちゃんは廊下へと移動した。



「未来?」


「どうしました、裕介さん?」


「兄ちゃんと仲直りしたのか?」


「仲直りなんて、元々ケンカしてないよ」


「嘘だ。してた!俺が小学生だからって騙せると思うなよな!」


そう言って裕介はまた肉を頬張った。



「あー!私が食べようとしてたのに!」


「へへーん!」


「むー!もういいもん!おなかいっぱいだし、私はトイレにでも行きますよーだ!」


肉を裕介に奪われたけれど、実は飲んだり食べたりばかりしててお腹がいっぱいで


お母さんたちもお喋りに夢中だから、今のうちにトイレに行っておこうと席を立った。






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