きみのとなり
最終章

となり



バタンッーー!


マンションの部屋のドアを思い切り閉めると、お母さんが何事かと玄関にやってくる。


「こら!静かに閉めなさいって言ってるでしょ!って、未来?」


お母さんにかまっていられない。





拓ちゃん
拓ちゃん
拓ちゃん
拓ちゃん…!





「拓ちゃん!」


拓ちゃんに会うために、このベランダに出たのはいつぶりだろうか。



「っ!拓ちゃん!拓ちゃん!」



走ってきたから、暑い。


私はマフラーとコートを脱いで、部屋の中に放り投げた。



「拓ちゃん!拓ちゃんってば!!」



拓ちゃんの部屋に向かって叫ぶ。



「拓ちゃん!」


なんで…


出てこないの?



「たくちゃ…」



「うっせーー!」



ガラッと部屋の窓が開いた。


「拓ちゃん!」


「じゃねーーよ!」


出てきたのは、拓ちゃんじゃなくて




「うるさいんだよ、未来は」



裕介だった。



「…拓ちゃんは?」


私はぽかんとして尋ねた。



「あー…」


「?…裕介?拓ちゃんは?」


「今はいない」


「なんでよ。」


「さ、さぁー?」



明らかに態度がおかしい。



「裕介。何か隠してるでしょ」


「な、何にも隠してねー!」


裕介は持っていたキャラメルコーンを慌ててボリボリと口に入れて食べ出した。



「あやしい。絶対何か隠してるでしょ。」


「だーかーらー!何にも隠してねーって!」


「……お願いだよ…裕介…やっと、仲直りできるんだよ。今じゃなきゃダメなんだよ。裕介も仲直りしてほしいんでしょ?」


「う…そりゃあしてほしいよ。でも…」


「でも?」


「っ~!兄ちゃんに言われてんだよ!未来には言うなって!」


え……



「あ…」


「どーいうこと!?」










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