【完】ポケット-幼なじみ-
「…すみません。大丈夫です。
もっかいやらせて下さい。」
はっきりとはる君の声が聞こえ、
たくさんの人の間から覗いて
みると監督らしき人に
頭を下げるはる君が、いた。
「……うーん。
早紀役、行けそうか?」
腕を組みながら監督さんが女優さんに尋ねる。
女優さんは一度目を伏せてから、
「全然平気です。」
と凛とした表情で言った。
「じゃ、
このシーンラストだー…」
「―――テイク37…」