【完】ポケット-幼なじみ-
「………っ」










「あら、歩夢ちゃんじゃない。」








出張から帰って来たらしい先生は秋物のコートを脱いで言った。










はる君…動かないで…ほし…い。








「…あれ?……なんで
 そんなに息上がってるの?」







先生が近付く。






ぴ、ピンチ…ピンチっ






「な、なんでもないです!
 体調が悪かったので
 少し、ベッド借りただけです」






手を顔の前で振りながら言う。









先生が私の顔に手をのばす。








「そう?熱あるんじゃない?
 ちょっとしつれ…」








「わーわー!!
 大丈夫です。

 さっきはかりましたっ」







あきらかに怪しまれちゃう態度。





私って…なんでこんなに嘘、下手なんだろう。






下手であきらかにばれるような演技なのに、






「そ?じゃ、私まだ行かなきゃ
 いけない所あるから
 ほどほどに戻るのよ。」






「…っ…はい…」






返事するのを確認し、近くにあったクローゼットみたいなところからスーツを出して去っていった。
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