【完】ポケット-幼なじみ-
はる君の腕の中はあったかい。
よく、体温が高い人は心が
冷たいって言うけれど
それって迷信だ、と私は思う。
だってはる君はこんなに
心があったかいから。
はる君がいなかったら私は何も出来なかったと思う。
「歩夢……」
はる君が私の上で名前を呼んだ
「――え?」
とはる君の腕の中で返事すると
「歩夢―――」
はる君が何かを言おうとした
瞬間、ギィィと重たそうな音を
たてながら手術室のドアが開いて
私とはる君はどちらかもともなく、自然にそっと離れた。