～先生と私の秘密～

弱さと強さ

「私は5歳の時に親がお互い違う相手と駆け落ちしたんだ。
朝はいつも起こされるのに起こされなくてリビングに行ったら、いつもお母さんが朝食を用意してくれてるのに、それもなくて、不思議に思って家中捜してもいなくて、名前呼んでも返事がなくて・・。

その時、小さかったけどちゃんと分かったの・・。
私は捨てられたんだなって。

それで外を歩き回ってたら孤児院の人が私を引き取ってくれたの。
それからずっと学費も何もかもみんな孤児院の先生が出してくれてるんだ。
まあ駆け落ちをしたって知ったのはつい最近だけどね・・・。」



「そんな辛い過去をずっと一人で抱えてたのか？」



「うん。この過去を誰にも今まで言えなかった私は弱いの。先生は私に強いって言ってくれるけど
本当はこんなに弱いんだ。」


そう。本当の私は弱いんだ。決して強くない。

これが私・・。





「お前は強いよ。」



「え？」



「今、俺に辛い過去を話してくれた。すごく勇気がいるけど、話してくれた。それだけで俺は強いと思う。弱さを見せられる強さだって俺は必要だと思うよ。柏木みたいにね・・。」

弱さを見せられる強さ・・・。考えた事もなかった。