したたか舌打ち、ジメジメいじめ
Aちゃんを嫌いではないので、あからさまにシカトしたくないけれど、1番目グループの反感を買いたくない。
――そんな葛藤。
ご主人はずるいので、自分がどう行動するのが安全で正しいのかを考えてたんだ。
そう、優しさからAちゃんと仲良くして自分までクラスでハミられたくないし、かといってAちゃんを無視しているところを誰かに見られたら自分の印象が悪くなるし、
つまり、《好感度が下がればモテなくなるよ》という悩みに苦悶していた。
もう分かるだろう?
ご主人はAちゃんの心配をしていやしなかった。真剣に自分の方向性についてを心配していたんだ。
全くなんて卑怯で浅はかな女なんだ、……俺、こんな人間の片割れだなんて恥ずかしいよ。
そんな性格の悪いご主人は、でも、捻くれているからなのか、
1番目グループの言動が不思議だったみたいだ。
《1番目グループはどうして100パーセントAちゃんを否定できるんだろう》、と謎だったみたいだ。
簡単にご主人の頭ん中を説明すると、悪口や愚痴で相手を否定したり批判したりできると言うことは、
自分が人として“まっとう”だと思っていなければ出来ないだろう?
だから、《1番目グループって自分は完璧なんだって自信あるんだなー、すっご》と、思うご主人な訳で、
完璧な人間なんていないのに、どうしてAちゃんをハブけるのかと不思議だったようだ。
それは『私って不思議って言われるんですよー』と、突然 天然アピール発言をする女子並に理解不能だった。
この状況は、たまたまタイミングがAちゃんだっただけ。
……タイミングって恋だけではないんだね。女の子同士こそタイミングがキーなんだね。恐ろしい運命だな。