もう一つの甲子園
洋二!何納得してんだよ。俺がハエなら雅人はゴキブリだぜ」

「俺はどっちもどっちと思う」と洋二が言うと、後ろのほうで聞いていたタコおやじが大声でどっちも害虫だっ!と笑い転げていた。

それからタコおやじの店を出た3人は海辺まで走りに行く事にした。

トンネルに入るとヨンファアとサンパチの入り混じった排気音が、とても心地よく仲間を身近に感じるタカだった。

そしてトンネルを抜けた瞬間、ハッと視界いっぱいに広がる青い海。陽の光が反射してキラキラと揺れて眩しい。

手の届きそうな白い雲。緑の景色の中に溶け込んでいる俺達がいる。

風を感じ一体になっている。同じ時間の中に仲間といる。

すべてから開放されたと感じる一瞬。この一瞬の為だけに走っている。

俺達は風が好きだ。

俺達は路肩にバイクを止めて砂浜におりた。

波の音。

ポケットからタバコを出して一腹する。フゥー。ほらっ、雅人とタバコを投げる。

洋二は?洋二も吸うのか。

スポーツ選手が吸っちゃダメでしょ!先生に言うよ!冗談を言いながら時間を過ごした。







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