もう一つの甲子園
「決着?なんの決着だ?」

「川辺さん、とぼけない下さい。当時、雑誌でも夢の対決と騒がれ実現しなかった幻の対決の決着です」

「そんなのもは洋一郎が死んだ時に終わったはずだ!」

「いえ。それまで無敗の兄は、日本で最後の対決に勝ち、そしてヨーロッパへ旅立つ事を大変楽しみにしていました」

「それは、イエベントとして楽しみにしていただけじゃねぇか!」

「川辺さんも知っての通り、どんな勝負であろうと兄は勝つ事を貪欲なまでに追求する人でした」「兄の最後の日記には川辺さんのマシーンに勝ことこそ真の日本一だ、と書かれていました」

「龍二!よく考えてみろ!洋一郎は四輪、おれのは二輪だ!」

「日本一の意味がわかりませんか?川辺さん!兄の432を超えるマシーンが四輪、二輪を問わず存在する事は許されないのです」

「イカレちまったのか?龍二!それに洋一郎はもういない!」

「知ってますか?峠では兄より僕のほうが早かった事を。」

「お前は無謀なだけだ!それに洋一郎はそんな事を望んではいねーぞ」

「もう遅いんです。兄がやり残した事を僕が変わりにやるんです。432で・・・」

ここに怪物と言われたZ432と、日本有数のトップチューナーであったタコおやじのモンスターと言われたZ2の対決の幕が落とされようとしていた。
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