もう一つの甲子園
タカと美奈は港の見える公園にいた。

「俺さあ、美奈に言っときたい事があるんだ。
「なあに?」

「怒らない?」
「怒らないヨ」

「俺始めて会った時から美奈の事が好きだった」
「私も」と美奈は静かに目を閉じた。

ゴクッ!タカは唾を飲み込んだ、胸の鼓動は最高潮に達しメーターの針はぶっ飛んだ。

美奈!っと叫んだところへ、おらータカー起きろ~!朝だーと中学からのダチの雅人が寝ているタカの布団を取っ払った。

「雅人テメー、もう少しでいいとこだったのに~、ゼッテー許さねー!」

「美奈って誰よ?どうせ、ろくな夢見てねーくせによー」

「うるせぇー人の夢の邪魔すんじゃねー」

「それじゃ~夢から覚める呪文!今日からテストー」

「あっ!そうだ。ヨンフォア取に行く日だっ!雅人急げ!」

「急ぐのは君!タカ!ほらーっ服着替えろ!」

「止めろーパンツまで脱がすなー」

あらあら~、雅人君いつも悪いわね~。あたしが起こしたんじゃ起きやしないんだから~この子は!毎日来てやってよ~。

「うるせぇ、ババア~つまんねー事言うんじゃね~」

「おばさーん、行って来まーす」

は~い、いってらっしゃーいっ!

「雅人、お前うちのババアと気が合うな~。あっ、いけね電車来るぞ走るれ!雅人!」

「またかよ~毎日これだもんなー。たまには早く起きろよー」

「雅人~急げ!急げっ!」

「頭悪いくせに足だけは速いんだからなー、待てよ~」

リリリリリ電車の発車ベルが鳴った。

なんとか電車に間に合った二人はハアハアと息を切らしながら汗だくになっていた。

「ところでタカ、寝言で言ってたミナ?って誰よ?」

雅人のやつ頭悪いくせに感だけはするどいよなと思いながらも「ま、まあ。ちょっとした知り合いだよ」と目線をそらした。

「女っ気ゼロのお前に、知り合い?あやしいなぁ、まっ!抜けがけはぜってーすんなよな」

「そんなんじゃぁ、ねぇよ」とタカは窓の外を見ながら小さく溜息をついた。










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