好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


苦しい。


息が、出来ないよ。


「佐々木?」


耳に届く心地よい声に、


ドクンと鼓動が一際大きく高鳴った。


――ああ、だめだ。


目眩がする。


たぶん。


私は、立ち上がったんだと思う。


大きな手の温もりと、甘い香りに包まれて、


くらくらと、酷い目眩に襲われたことは覚えている。


ただ、そこまで。


そこから。


私の記憶は、ぷっつりと途絶えてしまった――。


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