好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
直也にプロポーズをされた週末が明けた、月曜のお昼時。
私は、いつものように、賑やかな活気に溢れる社員食堂にいた。
「ええっ、プロポーズされたぁっ!?」
今日のメニューのハンバーグランチを粗方たいらげた後、
いつもお昼を一緒に食べている同期で同僚の『礼子さん』、
中野礼子さんに、その経緯をチラリと話したとたん、彼女は素っ頓狂な声を上げた。
普段は落ち着いた物腰の礼子さんも、さすがに驚いたみたいだ。
同期入社といっても、彼女は三歳年上の二八歳。
姉御肌のさっぱりした気性もあって、兄弟がいない私にとっては、何でも話せるお姉ちゃん的な存在だ。
こうして、ランチが終わった後、礼子さんと他愛ない話に花を咲かせるのが、いつもの日課。
しがないOLの、楽しい憩いのひとときなのだ。
「し、しいーっ。
礼子さん、声が大っきいってば!」
「やったね亜弓!
とうとう篠原さんを射止めたかーっ」
礼子さんは、ニヒヒと意味ありげな笑いを浮かべた。