好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
『大丈夫だよ。
きっと伊藤君だって、あーちゃんのこと嫌いじゃないって、
ほら、行ってきな!』
ポン!
と、優しい風が、励ますように私の背中を押し出した。
ハルカ……。
そこで、見ていてくれているよね。
きっと、不甲斐ない私に、やきもきしているかも。
込み上げる熱いものを押しとどめようと、振り仰いだ夜空には、綺麗な丸い月と満天の星屑。
そこで、
ハルカが笑っているような気がした。