好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
「まあ、タクシードライバーして貰ったから、文句は言えないんだけどね。女の子の病室だから、浩二ったら照れてるのかしらね」
「そうなのかな?」
少女めいた仕草で、ハルカが小首を傾げる。
ハルカだって私と同じ、二十五歳。
もう女の子って年じゃないんだけど、ハルカの場合『少女』って言っても違和感がない。
「きっとそうよ。アイツ、ああ見えても、照れ屋なところがあるからねー」
きっと今頃、浩二は、喫煙室でくしゃみを連発しているに違いない。
「そうだね」
ハルカは、楽しそうにふふふと笑った。
おう、浩二君。
君もなかなか役に立つじゃないか。
お礼に、もっとネタにしてあげよう。
気を良くした私は、更に浩二の話題を続けることにした。