好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

私だって、好きで思い続けているわけじゃない。


直也を愛してるって、


他の誰も好きじゃないって、心から言えたら、どんなに良いか。


だけど。


忘れようとしたって、忘れられないんだもん。


私に、どうしろって言うのよ!?


「そんなにいじめるな、ばかっ!」


思わず、本音がボロリと飛び出した。


鼻の奥が痛い。


目頭が、ぶわっと熱くなる。


もう、涙腺も崩壊状態に突入完了!


くそっ。


泣くもんか。


泣いてなんかやるもんか。


どんな質問でもしやがれっ!


ギュッと唇を噛んで身構えていたけど、それっきり。


浩二は、『私は貝』とでも言うように、ダンマリを決め込んでしまった。

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