逢いたい…。【実話】
あたしは白い紙を手に取

った。




『この度は大変なご迷惑

をおかけして申し訳あり

ませんでした。 今後一切

奥様、お子様に連絡を取

ったり、会ったり致しま

せん。

櫻井 TUN』




最後に印鑑まで押されて

いた。



《…グスン…何これ……》


「あいつに書かせた!この

位は当然だろ?散々いー

思いして俺をコケにした

んだからな!!」



【ガクン……TUN…あの

電話は…これを書く前だ

ったの?別れを言うつも

りで…グスン…かけてきた

の?もう…逢えないの?

あたしはイヤだよ…グスッ

こんな紙で…ウウッ…終わり

なんて…グスグス…いやぁ

ヤダ…ョ…イヤ…ぁ…

TUN…】



こんなのを受け入れられ

るはずがない。



「あと…これな!お前との

品物全部返して貰ったか

らな!」



紙袋の中には…お弁当箱

遊園地の半券…プリクラ

写真があった。



【ふたりで…色々な事し

たね…グスッ……ぁ…写真

ぁぁ……TUN……キュン】



ふたりが初めて出逢った

日に撮った写真の中に…



ふたりが寄り添い口唇を

重ねた写真は無かった。



そして…



いつもふたりを繋いでい

てくれた水色の鈴も入っ

てはいなかった――――






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