【完】透し予知能力者
『この手紙は五十嵐さんのお店から買った花束の中に入ってたって刑事さんが…』





『そうなんですか…』
この手紙のことまでは私には見えなかったし…加藤刑事からも聞いていなかったから私は知らない
『総一郎さん…これからトシ子さんと楽しく過ごそうとしていたのに本当に残念です』





『私も…残念ですよ!あの人は私に何かしてくれようとしていたのに…私ったら自分のことばかり考えてしまって…退職した時もお疲れ様の一言も言ってあげれなかったのに…』





『トシ子さん…もう自分を責めるのはやめましょう…総一郎さんも悲しみますよ』





『そうだね…総一郎…さん…』
昨日のようには涙が出なくなっていたが私もトシ子さんも一滴の涙をポロッと流した





私はその涙をハンカチで拭き取り総一郎さんとの最後のお別れをしに家の中へと入り手を合わせて拝み…
『トシ子さん…じゃあ私はこれで帰ります』





『ありがとう五十嵐さん…私はもうここに1人でいるのが辛いのであの人の葬儀が終わったら息子達がいるところに引っ越します』





『そうなんですか…お元気でねトシ子さん!』





『はい…五十嵐さんも体に気をつけて元気でね!』





そして…少しずつ総一郎さんの家から遠ざかる私をいつまでもトシ子さんは手を振って見送ってくれていた




< 181 / 279 >

この作品をシェア

pagetop