白い吐息

「白居くんは彼氏じゃないの?」

その質問にしばし黙り込む琴。



「長谷川先生?」


「彼氏って…言っていいんでしょうか?」

「どういう意味?」

「私と白居くんは、ただ好き合ってるだけで…付き合ってるわけじゃないような気がして」

膝の上に手を置いて、考えながら言葉を発する琴。

「そっか…」

関口先生の口元がうっすら笑みを浮かべる。

「私、彼のこと知らない部分が多いし…」


流されるように好きになった…


「こういう経験、初めてだし」

誰かに愛されること…


「ごめんなさい、難しいこと聞いて。恋愛って色んなパターンがあるのよね」

関口先生は優しく琴の手をとった。

「人に言えない悩みもあるでしょうね」

「そうですね…」

「私は心配性のおばちゃんだから、困っちゃうわ」

舌を出して可愛く微笑む関口先生に琴は安らぎを感じる。

「ホントは自信がないのかも。白居くんを受けとめることに」

「あんたなら大丈夫よ」

「…ありがとう。先生」



真人の秘密。
それを知りたい、理解したいと琴は思っていた。
秘密について話してくれない真人に淋しさを感じていた。
ただ、真人には話せない事情があることにだけは全く気付いていなかった。

残酷な現実が待ってることも…

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