白い吐息
真人はうっすら目を開けた。
天井を眺めながらため息をつく。

「夢か…」

呟きながら、ゆっくり身体を起こす真人。
半分位起き上がったところで、視界に彼女が入ってきた。

「琴子?」

「あっ!起きた?」

振り返って微笑む琴。

「うっ…うん」

「ちょっと待ってね、もう少しで仕上がるから」

「何?」

「あ・さ・ご・は・ん」

楽しそうに動く琴の姿を見ていて、真人は自然に笑顔になった。




ガラステーブルに並ぶ、料理。
日本の朝食らしい、ご飯と味噌汁と焼き魚、ほうれん草のゴマ和えに納豆、そしてふっくら輝くだし巻き玉子。

「ふわふわだ」

玉子を箸で押して感触を味わう真人。

「前に話したでしょ。料理は得意だって」

寝ぐせでボサボサになった真人の髪の毛を見ながら琴は誇らしげに語る。

「そーだったね…」

真人は何か言いたげに口をもごもごさせる。


何があったの?


琴はその一言が言えずにいた。


「琴子…オレ…」

箸を置いて、俯く真人に少し期待する琴。

「何?」

何があったのか、話してくれるの?


「オレさ…」


秘密のことと関係あるの?

教えてくれるの?

構える琴。

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