白い吐息
「…うちにさ、親父帰ってきたんだ」
「戸部くんから聞いたよ」
「何だよ。あいつお喋りだな」
「良かったね」
琴は真人に微笑みかける。
「良かったん…だよな」
腑に落ちない顔をする真人。
「どうかした?」
「いや、真人さんや真人さんのお母さんはどう思うかなとか考えてて…」
「まだそんなこと気にしてたんだ。大丈夫だよ。先生はお父さんや弟が幸せに暮らしてくれることを望んでるはずだもん。そして先生の望みを先生のお母さんが望まないわけないじゃない」
「そっか…。そうだよな」
「そうだよ」
偉そうに話す琴を見て、真人は笑顔になる。
みんなが、みんな笑っていた。
笑顔が溢れていた。
こんな他愛もない瞬間が幸せなのだと、2人は再確認した。
「あのー!聞いて下さい」
琴が急に手を上げた。
「どしたの?」
と、関口先生。
「みなさんに話したいことがあるんです」
琴は真剣な顔つきになった。
側にいた真人も疑問符を浮かべる。
「私、学校辞めます」
明るかった室内の空気が一瞬にしてシーンと静まり返った。
「…辞める?」
関口先生が呟く。
真人も、他のメンバーも驚き、目を丸くした。