白い吐息

「あれ…?」

保健室の扉が開いている。
部活でケガをした生徒でもいるのか?
そう思い、琴がこっそり室内を覗いた。
しかし人影が見当たらない。
ただの閉め忘れか。
琴が保健室に入ると、ベッドの方からギィという音が聞こえた。
ビックリして振り返る琴。
3つあるうちの真ん中のベッドだけ、カーテンで覆われていた。
そこは昼休みに琴が寝ていた場所だった。

「あっあの…誰かいるんですか?」

恐る恐る尋ねる琴。
しかし、返事はない。

「保健室、閉めたいんですけど…」

「長谷川先生、もうお帰りですか?」

カーテンの向こうから男の声が聞こえた。
それはよく聞き覚えのある声だった。

「あっ……」

琴が声の主に気付くと同時にカーテンが開いた。

「どーも」

そこにいたのは森下だった。
森下はベッドに座って琴に笑いかける。

「森下先生…どうしたんですか?」

「ちょっと仮眠をね」

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