なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
もうグラウンドは真っ暗で、
ナイターの光があってもボールがうまく目で追えない。
それでも、この人は黙々とバッドを振っている。
「あれ、まだいたの?」
琢斗が私に気づいて、バッドを置いた。
「たまには、最後まで付き合おうと思って。これでも、マネージャーだから。」
「これでもって…持田は、十分すぎるくらいマネージャーの仕事をしてくれてるよ。」
まさか琢斗がそんなことを言ってくれるなんて思わないから、私は恥ずかしくて思わず下を向いた。
「俺少しランニングしたら今日はもう上がるから、送ってく。」
無愛想だけど、優しい琢斗。
毎日、
私の中での
『好き』が、増えてくよ。
いつか溢れ出してしまうんじゃないかって、
怖いくらい。