なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


「こんな暗くなる前に、帰れよ。それとも、俺のこと待ってたわけ?」


半分冗談のつもりで言ったのに、




「そんなわけないじゃん」


亜子が本気でそう返してくるから、俺は少し…


いや、かなりへこんだ。




でもそのすぐ後に、




「大会、勝てそう?」




いつもは俺に興味がなさそうな亜子がそう聞いてきたから、


俺は飛び跳ねそうなくらい嬉しくなった。




さっきまで落ち込んでたのに、俺ってばやっぱり単純だ。




「おうよ。今日もバッチリ絶好調!大会が楽しみでしょうがない!!」




また、




『バカだ!』





って鼻で笑われると思ったんだけど、




今日の亜子はどこかいつもと違った。








それがどうしてか、俺にはわからなかったけど……




< 31 / 221 >

この作品をシェア

pagetop