なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「引退してもう何ヶ月経った?あっという間だったな。」
「そうだな…」
俺たちにとって、一緒に野球をやっていた二年半は
濃くて、長くて、ずっと続く時間のように思えた。
だからこそ、それがなくなった今は時間があっという間に過ぎていく気がする。
「お前さ、進路決めた?」
部活をやっていた頃は今を生きることに精一杯で、先のことを考える余裕なんてなかったけど。
俺たちは三年生。
夢から覚めた今、受験という現実が待っていた。