幸福論


蒼い海

深緑の山々

それでも、全くの田舎でもない街。






「空、蒼いな…。」






窓から見る空は、真っ青で、白い大きな雲が東の空に広がっていた。






「みんな…、元気かな…」






この街に引っ越してきて、まだ、慣れない環境に私は毎日、東京へホームシック。

この街で一人暮らししているおばあちゃんが体調を壊したのが、引っ越すきっかけになった。

おばあちゃんの調子は芳しくないみたいで、パパは、おばあちゃんと同居することを私たち家族に提案した。





「ホントは、パパが定年した後、ママと二人でおばあちゃんの所に行こうかと思ってたんだが、おばあちゃんの調子も知っての通り良くないんだ。

だから、むこうへ引っ越そうと思う。

おばあちゃんを一人にしたくないんだ。」






上手い具合に、パパの再就職先も、運良く決まったり、おばあちゃんの調子がやっぱり芳しくなくて、パパとママは、東京とおばあちゃんのところを行ったり来たりの日々が続いていたから。

だから、パパの提案も、仕方の無いことだと思えた。

パパは先におばあちゃんのお家に住み始めて、私たちを東京に残したまま単身赴任していた。






「春には、家族一緒に暮らせるね。

お兄ちゃんは、こっちに残るけど、愛ちゃんはママと一緒だもんね。」






パパと仲良しのママは寂しそうだったけど、私は、春になるのが嫌だと思った。



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