冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

ー紘夜ー



俺らしくもない。


「落ち着け…」

紫煙を吐きながら、
自分に言い聞かせる様に呟く。


なぜだ?

どうして、俺は
こんなにイラついている?


よくわからない感情が、俺をイラつかせる。



あいつが、

実織が触れた腕が、


熱い。



傷の痛みとは違う熱が、

俺にまとわりつく。



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