冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

「あっ、おい!」
「実織様!」

紘夜様と私の声にも振り返らず、

実織様は白いドレスについた緑の葉や、
色とりどりの花びらを舞い散らし、駆けてゆく。



花びらの彩りが、

花の匂いが、

舞い上がる。



くらりと、目眩がする程に。



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