冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「とてもお似合いですよ。実織様」
「え、そっそうかな?なんかやっぱり照れるけど…」
私は、静音さんに撫子色のドレスを着せられ、部屋で髪を結い上げてもらっていた。
「なんか、緊張してきたかも…」
「大丈夫ですよ。紘夜様がついてます。
実織様の不安は、紘夜様が拭い去って下さいます」
静音さん……
紘夜のこと本当に尊敬して、信頼してるんだな…
思うと、胸が痛んだ。
私は掌を見つめ、
ぎゅっ、
と、握りしめた。